同時に入札参加資格を受けることができない業種

2021年7月9日

入札では分離分割発注を行っているため、同時に入札参加資格を受けることができない業種があります。そこで同時に入札参加資格を受けることのできない業種と経営事項審査を受ける際の注意点をまとめました。

入札参加資格申請の前に申請をする経営事項審査ですでに判断をしていかなければならないので入札参加資格申請と経営事項審査を一体のものとして捉えていないと失敗する可能性があります。

分離分割発注とは?

分離分割発注とは、中小零細企業が公共工事で受注の機会を失わないように、工事の業種や工程などを細分化して、多くの業種に受注の機会を与えるようにするものです。

例えば、東京都や東京都電子自治体共同運営内の市区町村であれば、建築工事で入札参加資格を受ける業者は電気や管工事系等の業種では入札参加資格を受けることはできません。

規模の大きな会社が電気や管工事でも入札参加資格を受けることができてしまうと、小さな電気工事店や水道工事店などの設備業者の入札参加の機会が減ってしまう可能性があるからです。

同様に道路工事、橋梁工事、河川工事などの入札参加資格を受ける業者は建築設計、土木設計、測量などの業種で入札参加資格を受けることができません。

規模の大きな土木業者が設計などの業務までやってしまうと、小さな設計業者が入札に参加することができなくなる可能性があるためです。

東京都と都内市区町村で同時に入札参加できない業種

東京都と東京電子自治体共同運営に参加している市区町村では以下の表の右側と左側の業種の入札参加資格を同時に受けることはできません。

例えば、表の「組み合わせ1」見ると、建築工事の入札参加資格を受ける業者は電気工事や給排水衛生工事の入札参加は受けることができないということがわかります。

同時に入札参加資格を受けることができない組み合わせ表

組み合わせ1建築工事、コンクリートプレハブ、鉄骨プレハブ電気工事、給排水衛生工事、空調工事、解体工事、ひき家、一般塗装、橋りょう塗装

組み合わせ2道路舗装工事、河川工事、下水道施設工事、建築工事、給排水衛生工事、橋りょう工事、水道施設工事、一般土木工事、電気工事、空調工事建築設計、土木設計、設備設計、測量、地質調査

経営事項審査を受ける時点で必要な判断

経営事項審査申請では同時に入札参加資格を受けることができない業種があることに注意して申請内容を判断していく必要があります。

経審を受審するかどうかの判断

東京都や東京電子自治体共同運営では、建築工事で入札参加資格を受けると電気や給排水設備工事などの業種では入札参加資格を受けることはできません。

建築工事メインでいくのであれば、管工事で経審を受けても無駄になってしまいます。費用を抑えて必要書類を減らすとことができるので管工事では経審を受審しないという判断をしていくことも重要となってきます。

振替(積み上げ)の判断

東京都や東京電子自治体共同運営では、建築工事で入札参加資格を受けると解体工事で入札参加資格を受けることはできません。

建築工事と解体工事で経審を受けるとどちらかは無駄になってしまうことになります。そこで検討するのが振替(一般的には「積み上げ」と呼ばれることが多いのですが東京都では振替と呼んでいるので以下振替で統一します)です。経審の申請では解体工事の売上高は建築工事に振替ることが可能(建築工事から解体への振替はできません)です。

解体工事から建築工事に売上を振り分ければその分建築工事の施工高が上がるので建築工事の評点が高くなります。

振替をしないと解体工事の施工金額が丸々経営事項審査の評点に結びつかないことになってしまいます。これではもったいないので、経営事項審査申請の段階で、振替をきちんとしていく判断も必要になってくるのです。

ここがポイント!

  • 入札参加資格では同時に入札参加を受けられない業種がある
  • 経営事項審査申請の段階から意識して受審しない判断や振替の判断をする必要がある

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