建設業は請負を基本とするので材料費や外注費の立替が発生することがあります。そのため金融機関から借り入れをしなければ事業が回っていかないということも多々あります。そこで気になるのが経審への影響です。借り入れをすることで経審の点数にはどのような影響があるのでしょうか。
借入金が影響する経審の項目
結論から言うと、借入金が増えると経審には悪影響を及ぼします。借入金が増えるとY点が減少していきます。借入金が影響するのはY点(経営状況分析)のうちの「純支払利息比率」、「負債回転期間」、「総資本売上総利益率」、「自己資本比率」です。それぞれどういった項目か説明します。
純支払利息比率
純支払利息比率は売上高に対する支払利息の割合です。支払利息が大きくなると経営を圧迫することになるので、値は小さい方がよく、支払利息が少なくなればなるほど点数が高くなります。
負債回転期間
負債回転期間は負債の総額が月額売上高の何ヶ月分に相当するかを表す数値です。負債の総額が大きくなると経営を圧迫することになるので、値は小さい方がよく、負債が少なくなればなるほど点数が高くなります。
総資本売上総利益率
借入金などの他人資本と自己資本の合計である総資本でどれくらいの売上総利益を出すことができたかを表す指数です。借入金が増えると分母の総資本が増えるので値は小さくなります。
自己資本比率
総資本に対する自己資本の割合の数値です。総資本に占める自己資本の比率が高いほうがいい点数になります。借入金が増えると分母の総資本が増えるので値は小さくなります。
負債が増えると経審の点数が何点減少するのか?
では、純支払利息比率と負債回転期間が算出できれば、借入金がどれくらい経審に影響を与えるかすぐに分かるかというと、残念ながら「負債が増えたから経審は〇〇点減少します」と即答することはできません。他の項目も算出した上で、計算式に当てはめて算出していかなければならないからです。
純支払利息比率と負債回転期間とY点の計算式
順支払利息比率と負債回転期間が経審の点数にどのように反映されるかの計算式は複雑で、他の項目も計算した上でなければ何点になるかは算出ができませんが、参考までにどういった計算をするのかを紹介いたします。
行政書士にご相談いただければシュミレーションをしてどれくらい影響が出るのか算出することも可能ですのできちんと計算をしたければご相談くださいませ。
純支払利息比率(X1)の計算方法
純支払利息比率は以下の計算式で算出します。算出された値はA点の計算式のX1の項目(後述します)に当てはめます。
- 純支払利息比率=(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
- 上限値-0.3%、下限値5.1%
負債回転期間の計算方法
負債回転期間は以下の計算式で算出します。算出された値はA点の計算式のX2の項目に当てはめます。
- 負債回転期間=負債総額÷売上高÷12
- 上限値0.9%、下限値18.0%
Y点の計算方法
純支払利息比率と負債回転期間はY点(経営状況分析)の項目の要素となります。Y点はA点を求めて結果をY店の計算式に当てはめて算出します。
- A点=-0.4650×X1-0.0508×X2+0.0264×X3+0.0277×X4+0.0011×X5+0.0089×X6+0.0818×X7+0.0172×X8+0.1906
- Y点=167.3×A点+583
上記の数式のX1に純支払利息比率を代入し、X2に負債回転期間を代入します。他の数値も計算し、算出されたA点をY点の数式に代入して計算すれば、Y点が算出されます。P点(総合評定値)の計算ではY点にさらに0.2を掛けて計算します。
ここがポイント!
- 借入金が影響する項目はY点のうちの純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、自己資本比率
- 借入金が増えると経審には悪影響が出る
- 計算式は複雑なので借入金が増えたから経審でどれくらい原点になるかの計算は難しい
- 行政書士などの専門家にシュミレーションを頼むといい