知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)の得点アップのポイント

経審のW点はあるなしで点数がつく項目が多く、計算をしやすいのですが、知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)は算出方法が複雑でわかりにくくなっています。

技術者がCPDを受講して、技能者が建設キャリアアップシステムでレベルアップすればいいわけですが、どの程度取り組めばいいのかというのはなかなか見えてきません。そこで、W10で得点アップを狙うにはどのようにしていけばいいのかポイントをお伝えします。

W10の基本事項

W10の基本的なことは以下の記事を参考にして下さい。

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参考知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)の解説

知識及び技術又は技能の向上に関する建設工事の取組の状況(W10 )の項目は令和3年4月1日の法改正で新たに経審のW点に追加された項目です。建設業に従事する技術者がCPDを受け、技能者が建設キャリアアッ ...

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技術者と技能者に分けて考える

W10では技術者点と技能者点をそれぞれ計算し、合算して評点を算出します。そのため、技術者点で満点、技能者点で満点がでれば、W10についても満点が得られることになります。点数をアップしていくには技術者点と技能者点を分けて考え、それぞれどのように得点を伸ばしていくかを検討していくのが近道となります。

技術者点を効率的にアップする方法

技能者点はCPD単位の取得で決まります。CPD単位は上限が30点と決まっていますので効率的に点数をアップするのであれば、技術者はCPD単位の上限を目指して講習を受講するようにします。

注意が必要なのは上限となる30点についてです。現在、CPD認定団体が様々な研修を行い単位を付与していますが、単位の価値は同じではありません。各団体が実施している単位について調整をし上限を30点としています。

例えば、「公益社団法人空気調和・衛生工学会」の講座であれば、50単位の取得が満点となり30点として扱われます。「一般財団法人建設業振興基金」の講座であれば、12単位が満点の30点となります。技術者はこうした条件を確認しながら満点が取れるように講座を受講する必要があります。

そして、すべての技術者が30点を取ることができれば、技術者点の評点は最高値の10点となります。

ちなみに、講座については技術者が保有する資格と関係のない業種での講座でもOKです。興味のある講座を受けてもらうと前向きに受講ができるかもしれませんね。

技能者点を効率的にアップする方法

技能者点は技能者の建設キャリアアップシステムでのレベル判定が上がったかどうかで点数が付きます。審査基準日前3年間で1以上レベルアップした人の割合をテーブルに当てはめて計算をするのです。満点の評点である10点を獲得するには技能者全体の15%以上の方がレベル1以上アップする必要があります。

レベルアップには就労日数が関係してきます。例えば、「とび」の場合、レベル2になるためには3年の就労日数が必要で、レベル2からレベル3になるには8年の就労日数が必要です。申請会社としては、雇用している技能者が一度にレベルアップしてしまうよりは、数年に分けてレベルアップしてもらう方が点数アップに繋がる可能性が高くなります。

レベルアップにはレベルアップ判定という申請が必要になるのですが、申請のタイミングを調整しながら15%を維持していくという対策を取る会社も出てくるかもしれません。細かくコントロールしていくことは難しいですが、理論上はこうした対策も可能となります。

技術者と技能者を兼ねる人の扱い

中には技術者であり、技能者であるという人もいると思います。こうした人についてはどちらでもカウントできることになっています。一人で二人となるわけです。

ただ、正直に技術者としても技能者としてもカウントするべきかどうかはシュミレーション次第になります。場合によっては技術者としてはカウントするが、技能者としてはカウントしないという選択をしたほうが点数が高くなることがあり得ます。

事前のシュミレーションが大事になってくるというわけです。

W10で高得点を狙うには

技術者はCPD単位が30以上になるように講座を受講させます。ここはわかりやすいので必ず目指しましょう。技能者は建設キャリアアップシステムのレベルアップする人が15%以上になるように申請します。多すぎるようであれば、1年ずらしたりするのもありだと思います。社内で調整をしていきましょう。

また、申請をする技能者の数を調整するということも検討しましょう。母数が減れば比率が高まります。技術者兼技能者も調整が可能です。シュミレーションをしながら点数が高くなるように調整をしていくことも検討してみて下さい。

知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)の得点アップのポイントのまとめ

ここがポイント!

  • 技術者点と技能者点を分けて考える
  • 技術者点は各団体のCPD単位を確認しながら満点を目指す
  • 技能者は全体の15%以上が建設キャリアアップシステムのレベルアップするように調整する
  • 場合によっては技能者の母数を調整する

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