令和5年1月施行予定の経審改正案

2022年3月14日に中央建設業審議会総会が開催され、経営事項審査改正について審議されました。今回の経審の改正の内容は以下の5点となります。

  1. ワークライフバランスに関する取組として、くるみん・えるぼし・ユースエール認定等を受けている企業を評価
  2. 下請負人に使用される者の労働条件に係る取組として、CCUSを現場で導入している元請企業を評価
  3. 建設機械の保有状況に関する評価対象機械の追加
  4. 環境への配慮に関する取組の評価としてISO14001に加え、エコアクション21を追加
  5. 監理技術者講習受講者の経審上の加点について経審上加点可能な期間を修正

詳細について以下でお伝えしていきます。

ワークライフバランスに関する取組として、くるみん・えるぼし・ユースエール認定等を受けている企業を評価

ワークライフバランス=WLBへの取組として、くるみん・えるぼし・ユースエール認定等を受けている企業については加点の対象となりました。

くるみん認定とは

くるみん認定とは仕事と子育ての両立に取り組んでいる企業への認定制度で「次世代育成支援対策推進法」という法律に基づいて厚生労働省が実施しています。くるみん認定を受けるためには決められた基準を満たしていなければなりません。

行動計画を策定すること、行動計画を策定し、育児休業等の取得、労働時間、残業等の削減などに取り組んでいくことで認定が受けられます。

詳細はこちら→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html

えるぼし認定とは

えるぼし認定は女性の活躍を推進する企業への認定制度で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」という法律に基づいて厚生労働省が実施しています。えるぼし認定を受けるためには決められた基準を満たしていなければなりません。

女性が能力を発揮しやすい職場環境であるかというところが基準となっており、採用、継続就業、労働時間等の働き方、管理職比率、多様なキャリアコースがあるかどうかで判断され、毎年データベースを公表する必要があります。

詳細はこちら→https://shokuba.mhlw.go.jp/published/special_02.htm

ユースエール認定とは

ユースエール認定とは、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。ユースエール認定を受けるためには決められた基準を満たしていなければなりません。

若者の採用に積極的であったり、離職率20%以下、「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定している、研修を実施して公表しているなどの評価項目があります。

詳細はこちら→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html

主観点として加点の対象としている自治体もあります

これらの認定制度は自治体によってはすでに主観点として加点の対象となっているため、そうした地域にある事業者が認定を受けると主観点と客観点(経審)で二重に加点されるというメリットがあります。

規模の小さい会社は不利

小さな建設業者だとそもそも女性がいなかったり、募集をしても若者が集まらなかったりします。また、そもそもこうしたことに対応できるような組織になっていない事業者も多いですし、認定を受けるための担当者を置くことが難しいケースがあるので、これらの項目で加点を得るのはなかなか難しいのではないかと思います。

下請負人に使用される者の労働条件に係る取組として、CCUSを現場で導入している元請企業を評価

すべての工事でCCUSの導入が必要

元請工事ですべての工事にCCUSを導入すれば加点の対象となります。「すべての工事」というところがポイントです。どんな小さな工事でも漏らしてはいけないとのことです。どの様に審査するのかというと誓約書を提出することで判断するとのことです。

ズルした場合は営業停止も

裏付け資料が誓約書の提出ということで、ズルもできてしまいますが、抜き打ちで立ち入り調査等も実施するとのことです。誓約書を出して加点された企業が実際は全工事でCCUSを導入していなかったことが判明した場合は営業停止に該当するかもしれないとのことです。

また、立ち入り調査は誰がやるのという問題も残りますね。

建設機械の保有状況に関する評価対象機械の追加

建設機械の範囲が広がる

現在、加点の対象となっている建設機械は以下の6種類です。

  • ショベル系掘削機
  • トラクターショベル
  • ブルドーザー
  • 移動式クレーン
  • 大型ダンプ
  • モーターグレーダー

ここに以下の建設機械が追加となります。

  • ロードローラー
  • 振動ローラー
  • ブレーカー
  • 解体用掴み機
  • 高所作業車
  • 大型ダンプ→土砂運搬が可能な全てのダンプ

環境への配慮に関する取組の評価としてISO14001に加え、エコアクション21を追加

環境への配慮としては、現在はISO14001を受けている加点の対象となっていましたが、ISO14001は審査や審査後の維持が難しいということがあり、エコアクション21が追加されます。エコアクション21はISO14001よりも認定されやすいので加点はISOの5点に対して、エコアクション21は3点となる予定。

エコアクション21とは

エコアクション21とは環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)で、各事業者や組織がPDCAサイクルで環境への取り組みをしていこうという制度です。各事業者や組織が自主的に環境マネジメントに取り組んでいくための制度となっています。

エコアクション21では以下の項目が審査されます。

  • 「計画の策定(Plan)」、「計画の実施(Do)」、「取組状況の確認及び評価(Check)」及び「全体の評価と見直し(Act)」からなるPDCAサイクルに基づく環境経営システムを適切に構築していること
  •  構築した環境経営システムを3か月以上(PDCAサイクルを一度以上実行する)、適切に運用し、維持していること
  •  環境負荷(二酸化炭素排出量, 廃棄物排出量, 水使用量など)を把握し、必要な環境への取組(二酸化炭素排出量の削減, 廃棄物排出量の削減、水使用量の削減、自らが生産・販売・提供する製品の環境性能の向上及びサービスの改善など)を適切に実施していること
  •  代表者による全体の評価と見直し・指示が適切に行われていること
  •  環境経営レポートを定期的に作成し,公表していること
  •  原則として環境などのデータを審査員に提供していること
  •  環境への負荷及び取組状況の自己チェックの内容、環境経営方針、環境経営目標、環境経営計画の内容、並びに環境経営レポートの内容が整合していること

詳細はこちら→https://www.env.go.jp/policy/j-hiroba/04-5.html

主観点として加点の対象としている自治体もあります

自治体によっては工事の主観点でエコアクション21を加点の対象としているところもあるため、そうした地域では二重に加点されることになります。

監理技術者講習受講者の経審上の加点について経審上加点可能な期間を修正

これまでの経審では、監理技術者講習受講者の加点される対象の期間と実際の監理技術者講習の有効期間の間にズレが生じておりました。

現場に配置される監理技術者の監理技術者講習の有効期間

令和2年に改正があり、現場に配置される監理技術者の監理技術者講習の有効期間は以下のようになりました。

  • 監理技術者講習を受講した年の翌年の開始の日から5年間

例)令和3年3月10日に監理技術者講習を受講した場合は、令和4年1月1日が起算点となり、有効期限は令和8年12月31日

上記のように現場に配置される監理技術者の監理技術者講習の有効期間が改正されたにもかかわらず、経審では同様の扱いがされておりませんでした。改正前のまま、監理技術者講習を受講から5年間を加点の期間としていたのです。

今回の改正ではこの期間のズレを調整し、加点される期間を現場に配置される管理技術者の監理技術者講習の有効期間と合わせることになりました。

受講が遅れても加点の対象になる

決算日と監理技術者講習受講の有効期限日が近くて、受講が遅れてしまい、決算をまたいでしまったために加点の対象にならなかったという監理技術者さんがいたりすることがあったので、この改正は少し嬉しいという事業者もいるかもしれませんね。

W点の算出方法の修正

これまで説明してきたようにW点の項目が増えることになります。すべてを満たしてくると必然的にW点の点数が高くなってきてしまうので、W点の計算方法も修正されます。

これまでW点の計算方法は以下のように計算をしていました。

  • (Wの各項目の合計点)×10×190÷200

これが以下のように修正されます。

  • (Wの各項目の合計点)×10×175÷200

W点が減少するという事業者も出ます

W点のウェート的には14.32%から14.40%とほぼ変わりません。しかし、新たに加わった項目に対応していかない(対応できない)場合は、実質減点となってしまいます。また、LWBやエコアクション21はすでに主観点で加点の対象となっている自治体もあるため、対応していかないと主観点と客観点の両方で差がついてしまうということになります。

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